大腿骨頭壊死の食事療法 2009年10月10日 大腿骨頭壊死症は無菌性、虚血性の骨頭壊死の総称です。それはいくつかの原因(外傷、ホルモン、過度の飲酒が多く見られ
ます)が大腿骨頭への血行不良を招き、その結果骨細胞への虚血、壊死、骨梁の断裂、大腿骨頭の圧潰という病変を引き起こし
ます。
1888年に最初に病気として認識されてから現在まで、既に多く確認され、たびたび見られる病気となり、今では世界が認
める難しい病気となっています。けれど、わが国の中医学はこの病気の治療について既に大きな困難を乗り越えていて、たくさ
んの患者が健康の快復に向かって歩んでいます。
食事療法は病気の快復プロセスの中で、相当大きな働き、役割を発揮することができるのです。ここで皆さんと一緒に考えた
いと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大腿骨頭壊死症の食事療法について挙げるなら、それは高カロリー、高栄養、高ビタミン、そしてあっさりとして消化し易い
食事というのが主要なものとなります。具体的には十分な炭水化物、十分なたんぱく質、適量の脂肪、そしてビタミンA、D,
C、Bの補給、十分なカルシウムと燐です。辛いものは避けます。中医薬を服用している場合は生ものや冷たいもの、固いもの、
生臭いものは避けましょう。緑豆や白大根もです。*注1 また、タバコとお酒も駄目です。 外傷性大腿骨頭壊死の人は、ケガの回復手術あるいは各種の股関節保存術や股関節置換術の後、初期には各種の食材を煮込ん
でスープや粥などの柔らかくて水分が多い食事にするべきです。油っこすぎるものはいけません。消化器の働きが正常になるの
を待ってから、自分の口に合う好きな食事にすることは良いでしょう。ビタミンCの補給も骨組織の修復を助けます。鶏肉や豚、
牛、羊などの家畜の肉、卵など、動物性のもので栄養を摂ることも大変良いことです。
ケガや手術も無く、そして血液は正常でもその流れが滞っている、こんな人は脂肪分が多くて甘みの濃い味の食べ物はたくさ
ん食べることはできません。普段の股関節などの痛みのために身体を動かすことが少なくなり、そのために血流が緩慢になって
血液も粘り気が出てドロドロになって滞るようになります。これは骨の修復に不利です。
気の流れが滞って、血も汚れて流れが悪くなっている人は*注2、サンザシの粥を食べることによって、これらが原因となった 様々な症状や疾患の治療をすることもできます。また、肝や腎の働きが弱っている人は*注3、血と精を補い、体質を丈夫にする ためにクコノ実や長芋、キノコなどを食べることも良いです。
肥満の人は低脂肪、低コレステロール、低カロリーのものにしなければなりません。野菜を多く食べ、豆類や赤身の肉など、
肥満を生じさせない食べ物にする必要があります。大腿骨頭壊死の患者は体重が増えて、骨頭への負担が増えることを避けるた
めに、太ることはできません。
毎日いつも牛乳を250ml以上飲みましょう。そうすることでカルシウムを補給することができます。ただ、カルシウムの吸 収に悪い影響を与えないように、ほうれん草などのシュウ酸*注4を含む食べ物を一緒には食べられないので注意してください。 濃いお茶を一緒に飲むこともいけません。ビタミンA、Dとか、魚の肝油もカルシウムの吸収を促進します。
骨頭湯*注5はカルシウムの補給にとても良い食べ物です。骨をたたいて細かく砕き、塩を加えます。少量のお酢を加えるとカ ルシウムが溶け出すのを助けます。そして圧力鍋で柔らかくなるまで煮込んでスープにして飲みます。普段から食べても良いで
すよ。
キュウリの種の粉と、中国レタスの種の粉、黒ゴマの種の粉を食べるのもカルシウムの補給に良いと言う人もいます。*注6 タバコとお酒はやめましょう。タバコの中のニコチンが血管の収縮と血栓の形成を引き起こし、大腿骨頭の修復に不利になり
ます。飲酒過多による度を越したアルコールによって骨頭壊死を引き起こした患者は、必ず禁酒しなければなりません。私のは
外傷性の骨頭壊死で、今は健康を快復しています。たまにみんなで集まった時にほんの少しだけビールを飲んだり、少量のワイ
ンを飲んだりする時がありますが、目立った悪い反応はありません。
あと、出来るだけ多く運動して陽の光にもたくさんあたりましょう。皮下脂肪の中のコレステロールの一種が日光を浴びてビ
タミンDが作られ、カルシウムの吸収を助けます。こうすると骨梁の形成に良いのです。
以上何点か、みなさんの参考のために申し上げました。
ご訪問ありがとうございました。みなさんが早く快復されますように!
2009年10月10日 稿
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ** 以下は、うさぎが注釈のために書き加えました。** *注1:中国のお野菜です。緑豆は大豆の仲間、白大根は日本の大根と同じように色々な種類があります。 *注2:気滞血於【於には、やまいだれが付きます】(きたいけつお)と言います。「気」は身体を動かすエネルギー、「血」 は西洋医学で言う血液と似ていますが、血球成分などの区別は無く、全身を栄養し潤す作用を持っています。また、精
神活動を支える基礎ともなっています。この気や血が不足してくると全身に様々な症状が現れてきます。
*注3:肝腎虧虚(かんじんききょ)とか、肝腎陰虚(かんじんいんきょ)と言います。「肝」も「腎」も西洋医学の肝臓、腎 臓とは少し概念が違います。中医学ではこの肝と腎が密接に関連して、精神状態も含む全身状態を管理しています。肝
と腎の働きが弱ってくると気や血の流れがうまくいかなくなり、精も不足して全身に様々な症状が出ます。精は両親か
ら受け継いだ先天の気と、生まれた後、飲食物の摂取によって吸収される栄養から生成された後天の気が、一緒になっ
て作り出された生命活動を支える根本的な物質とされています。
*注4:シュウ酸は、日常口にする野菜のほとんどに含まれています。特に緑色野菜に多く含まれ、ほうれん草や茶葉の含有量 が突出しています。シュウ酸は体内でカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなります。身体への吸収を阻害し、
対外へ排出され易くしてしまうのです。
*注5:骨頭湯の「骨頭」は「こっとう」ではありません。中国語の「骨頭」は「骨」のことです。「湯」は「スープ」のこと。 なので、骨頭湯は「骨のスープ」のことです。あくまでも骨がメインなので、「骨付き肉」ではなく、「肉付き骨」で
す。豚や牛、羊などの骨を使い、お好みで野菜なども入れたりします。かなり違いますが、日本には豚骨ラーメンのス
ープもありますから、いわゆるゲテモノ料理ではありません。薬膳料理なのです。
下の画像は骨頭湯の調理例です。
*注6:中医学の普及している中国では、様々な野菜の種なども漢方や健康法の中に取り入れられています。中でもキュウリの 種の粉と中国レタスの種の粉、黒ゴマの種の粉を一緒に服用すると、大腿骨頭壊死の快復に有益とされ、効能書きとし
て書き込まれたりして市販されています。価格は3つ合わせても800円位です。大腿骨頭壊死に効くかどうかは分か
りませんが、カルシウムを多く含む食品ではあるようです。
下の画像は市販されているものの例です。左がキュウリの種の粉、中がレタスの種の粉、左が黒ゴマの種の粉です。
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